「経営人事改革の視点」 2017年2月号 評価は何のために行うか

「査定」と「評価」は違う

何らかの形で人事評価制度を導入している企業は少なくありません。その実態は、半期に一度、賞与支給に際して現場管理者や経営者が「査定」を行うというものが多いと思われます。その結果によって、賞与の支給率や昇給率に差をつけることになります。

何も行わないよりも、「査定」は行った方がよいと思います。しかし、せっかくそうした作業を行うのであれば、一歩進めて「評価」を行う方がより大きな効果が見込めるので、是非そうすべきです。

査定と評価の根本的な違いは、それが一方通行の行為か双方向のものかということです。

査定は、上司が部下の働きぶりを見て評点をつけるというものです。その結果をフィードバックすることもありますが、単に賞与の額や昇給に反映させるだけで終わることも多いようです。

双方向の行為である評価は、まず評価期間の始まりにおいて、評価者と被評価者がそれをどのように進めていくかを確認し合うことが出発点となります。

そもそも、評価と査定はその目的が違います。評価は、評点をつけるだけでなく成果の達成を促進していくことや、部下を育成することなどの機能を持っています。評価は、それらの経営目的を達成するためのマネジメントツールなのです。

マネジメントツールとしての評価

評価がマネジメントツールである以上、PDCAサイクル、つまりPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の手順にしたがって進めていく必要があります。その手順はまず期首において評価者と被評価者が、「被評価者が達成すべき成果や取るべき行動、身につけるべき能力など」を確認し合い、合意することでスタートします。これは、PDCAサイクルにおけるPlan(計画)のプロセスです。

やるべきことを確認したら、Do(実行)のフェーズに入りますが、後は期末まで放置してもOKというわけではありません。上司は部下のやるべきことの遂行状況を常にウォッチングし、必要に応じてフォローしなければなりません。

業務遂行に関しては、評価制度がなくても上司としてフォローするのは当然でしょうが、取り組み姿勢の改善や能力を身につけることなどについては、評価という観点がないと、見過ごされがちになります。一般に評価制度においては、評価の対象となるのは、成果だけでなく、勤務態度や能力要件なども含んだ総合的なものとなります。

そして半期の間においても、最低でも1回は中間面談を行うべきです。これは、PDCAサイクルの中で、Check(評価)のプロセスにあたります。途中で現状確認、振り返りの機会を持たないと、不十分な状態のまま半期を過ごしてしまいかねないからです。

半期終了後には、そこでも当然面談の機会を持ち、振り返りと次の半期における目標、取り組みのあり方について話し合います。これらはAct(改善)のプロセスで、そこでは業務上の改善だけでなく、育成観点のアドバイスもあわせて行っていくことになります。

このように見ていくと、評価はまさに人材マネジメントそのものであることがわかります。評価を進めていくことは面倒なことでもあり、どうしても余分な業務と捉えられがちです。しかし、評価は管理職の本源的な業務であり、これを適切に行うことを管理職に厳しく問わなければなりません。

経営軸と人間軸を結びつける

企業経営は、経営計画を推進し目標を達成していくプロセスです。しかし計画上の数字だけを追いかけても、現実は何も動きません。その無機質な計画や目標を、生身の人間の行動に落とし込んでいかなければならないわけです。そこで、人間軸の作業である評価が必要になります。評価は、マネジメントツールであると同時に、体系的に設計されたコミュニケーションツールであり、育成ツールでもあります。

経営軸と人間軸を結びつける評価を、PDCAサイクルに従って適切に行うことが、企業の成長にとっても不可欠の要件であると考えられます。

以上