「経営人事改革の視点」 2014年11月号 解決志向のマネジメントとは

解決志向と問題志向

問題ではなく、解決(ソリューション)に焦点を当てるマネジメントが注目されています。こうした方法は、「ソリューションフォーカス・アプローチ」とも呼ばれています。それに対して、問題に焦点を当てる方法は、「プロブレムフォーカス・アプローチ」です。

問題解決にあたって、対象が機械やしくみである場合と「人間」である場合では解決の道が異なります。機械の不具合や製造工程の欠陥などは、原因を追求し、それに対してダイレクトに手を打たなければなりません。これはプロブレムフォーカスの世界です。

しかし、人間が相手も場合はどうでしょうか?

ある社員が業務上で大きなミスを犯しました。論理的には、その原因を究明し、二度とそのようなことが起こらないようにしなければなりません。間違いを追求し、反省を促す。場合によって、ペナルティを与える。こうしたことが一般的には行われます。しかし、その結果、状況が改善するとは限らず、間違いが繰り返されることが往々にしてあります。

なぜでしょうか?

ミスを犯した原因を追求し、二度とそうしたことを「しないように」求めても、具体的に「どうしたらいいか」わからないことが多いからです。あるいは、「どうしたらいいか」抽象的にはわかっても、今この瞬間からどのような行動をとればいいかわからないからです。あるいは、とがめられることで感情的な反発が生じることもあります。

感情に配慮したアプローチ

「感情」はきわめて大きな問題です。人間は感情の動物で、行動を引き起こす要因は理論ではなく感情であることがほとんどです。人間は、取らなければならない行動を取るのではなく、取りたい行動を取るというのが本当のところです。

マネジメントにおける目的は、「良い結果が生まれる」ことで、そのために他人である社員に「取ってほしい行動」を取ってもらわなければなりません。強制や恐怖による支配は一時的な効果しかありません。本人が心からそうした方が良い、そうしたいと思うようにもっていくのが最善の策と考えられます。

解決志向のマネジメントにおいては、「どうなりたいか」「何を手にいれたいか」という目指すところを明確にし、そこに行くまでのプロセスに焦点をあてます。そして、具体的にどのような小さな一歩を始めたら良いのかを明確にします。「なんでだめなのか?」ではなく、「どうすればいいか?」と考えるのです。

対立ではなく協調すること

こうしたアプローチにより、上司と部下の関係も「対立」を離れ「協調」に至ります。

具体的なコミュニケーションは、出来ていないことではなく、出来ていることの確認から始めます。目標が「10」の状態で、現在の達成度が「3」であった場合、足りない「7」ではなく、「3」まで出来ていることを確認・評価します。その上で、解決の方向性をさぐります。営業成績が不振であるということなら、新しい地域を開拓するのか、既存顧客を掘り起こしていくのか、あるいは目先を変えて紹介を得る作業を中心に行うのか、本人の意思を尊重しながら進むべき方向性を明確にしていきます。

解決の方向性を確認した後、その先にある「理想的な未来像」を描きます。その理想的な未来像に対して、今はどの段階にあるのか、どのようなリソース(資源)が使えるのか、どのような小さな一歩が踏み出せるかを確認していきます。そして、小さな一歩が踏み出されたら、その後のフォローアップも必要です。

このように、解決志向のマネジメントは、問題にとらわれず、解決へ向かうことに焦点をあてる考え方で、コーチングの一種でもあります。

なお、こうした考え方に関する参考書籍としては、「解決志向の実践マネジメント」(青木安輝著:河出書房新社刊)があります。本コラムもこの本の内容を参考にしています。

以上