「経営人事改革の視点」 職場の「雰囲気」をマネジメントすべき理由

◆気分が人の行動に強い影響を与える

人は気分の影響を強く受けます。

気分は、「その時々の漠然とした心・気持ちの状態」「体の生理的な状態に応じて起こる、快・不快などの心の状態」(大辞林)などと定義されています。

気分は、人が日常生活で経験している一般的な感情であり、快/不快、落ち着いている/興奮している、などの側面があります。じっとしているときでも眠っているときでも、気分は恒常的な流れとして存在し続け、止まることはありません。

気分屋という言葉もあり、「そのときの気分次第で行動する人」(大辞林)と定義されていますが、気分屋さんに限らず、人間の行動は気分の影響を強く受けます。

暗い気持ちでいるときには、積極的な意思決定や行動をとる確率が下がりますし、そもそも判断力が低下していきます。

逆に、明るい気持ちのときは、積極的な意思決定や行動が実現しやすくなります。積極的な行動が成功確率を上げることは、さまざまな研究からも明らかになっています。

気分は、外部の影響も受けた肉体各所から脳にフィードバックされる刺激の変化を反映するものです。よい気分でいるためには、栄養バランスに気をつけ、規則正しい生活を送り、適度な運動を行うことなどにより体調を整えることが基本ですが、それに加えて体調に影響する外部環境を整えることが重要です。活動の場の整理整頓、空気の入れ換えなどです。

 

◆組織の雰囲気をコントロールする

気分は個人に属するものですが、同じ要素を複数人の状態や組織にあてはめると、それは「雰囲気」になります。雰囲気は構成メンバーの気分に直結します。明るい雰囲気は明るい気分に、暗い雰囲気は暗い気分に結びつき、それぞれ積極的な行動、消極的な行動に結びつきます。

企業においては、各職場の雰囲気が社員の意識や行動に大きな影響を与えるのです。企業が社員の積極的な行動を必要としていることは言うまでもありません。積極的な行動は好業績をもたらすからです。

このように考えると、企業において業績に直結する雰囲気を成り行き任せにすべきではないと言えます。雰囲気をコントロールすることは、重要なマネジメント事項なのです。

さて、企業において雰囲気をつくっているのは誰でしょうか。中小企業では高い確率で経営者です。社員は皆経営者を見ています。その影響力は絶大で、経営者自身が職場の雰囲気をつくっているのです。

企業という舞台で、経営者は主演俳優であり、そこで良いシナリオを実現しなければなりません。思うままに振る舞い、その日の「気分」によって態度、行動にばらつきがあるようでは、良い業績をあげるというシナリオを自ら狂わせているということになります。経営者は、明るく程よい緊張感のある雰囲気をつくるための役者になって、振る舞いを自らコントロールしていく必要があります。

もう一つの注意点は、「雰囲気ブレーカー」の存在です。職場の雰囲気を壊す「不機嫌な幹部」やルール・規律を乱す問題児などです。彼ら彼女らを放置することは、組織にダメージを与えます。注意をするなどして修正をかけることはもちろんですが、そもそも良い雰囲気の基盤づくりを行って、そうした振る舞いを行うことで「アウェイ感」を感じさせるようにすることが本質的な対応となります。良貨で悪貨を駆逐するということですね。職場の5S、自然な形での挨拶の励行、良質なコミュニケーションなどは良い雰囲気を形成する重要な要素となります。

あるべき職場の姿や雰囲気を思い描き、それを実現するためのマネジメントを行って行くことは、企業づくりの隠れたテーマなのです。