「経営人事改革の視点」 組織がワンチームとして機能するために

◆集団を形成して生きる

あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、昨年末の流行語大賞に、ワールドカップラグビー日本代表の ONE TEAM が選ばれました。ワールドカップの日本代表のチーム一丸となった献身的な戦いぶりに、多くの国民が深く感動した結果です。

人間は、チームで戦うことに対して、特別な感情が生まれやすいのです。それは人間が、数百万年前から集団を形成して生き抜く戦略を選択したことに由来します。集団メンバーが協力して外敵と戦い、獲物を得て生き延び、自分たちの子孫を残していくというものでした。そのベースをなす集団形成本能は、現在もほぼフルセットで生きているのです。

企業においても、社員が集って協力して競合他社と戦い、顧客の支持を得て生き残っていく成り立ちは、狩猟採集時代のそれと基本的には変わりません。だからこそ、企業は社会を構成する汎用的な器(うつわ)として機能しているともいえます。

狩猟採集時代の生き残りのための人間集団において不可欠だった要素が、メンバーがお互いを親しく知っていること、互酬性(してもらったらお返しをする)、協力行動(見返りのない奉仕)、わかりやすいルール(掟)です。そしてこの内容は、企業においても同様に求められているのです。

 

◆思考ではなく感情、情動で人間は動く

企業活動とは、それを構成する社員の行動の総合計です。望ましい企業活動を行うということは、望ましい社員の行動を実現することに他なりません。

われわれ人間には理性が備わっていますが、集団形成やその中での重要な行動を導くものは理性ではなく本能的な反応や感情です。そうした反応や行動は、脳の機能が進化して理性が発達する以前から成立してきたものであるからです。

企業という人間集団をワンチームとして機能させるためには、狩猟採集時代の人間集団のように、お互いがメンバーを親しく知っているという状態をつくることが求められます。それは、単に集団を形成するだけでは達成できません。時間を掛けてさまざまな取り組みを行っていくことで実現していくのです。

ワールドカップラグビーの予選リーグで日本に敗れたスコットランドチームのヘッドコーチは、日本代表について「非常に結び付きの強いチームだ。ずっと一緒に過ごしてきたことがわかる。」と述べています。

現に、日本チームは、ワールドカップ開催に先立って、宮崎県で長期にわたる合宿を行いました。そこでの生活と過酷な練習を通してONE TEAMが成立したとメンバーは語っています。

ワンチームとして、お互いが親しく知るという状況をつくるためには、メンバーの情報を共有するだけでは足りず、メンバー同士が人間対人間できちんと向き合うことが必要です。トータルな存在として向き合うということです。

そうした基盤の上に立てば、チームとして自分の役割を果たそうという自然な感情が生まれます。集団メンバーから期待される機能を果たすための行動が自発的に取られるようになるのです。そして、そうしたプロセスを通じてこそ、組織メンバーの成長も実現していきます。

何にどれだけ時間を使うか、何を行わないかという時間のコントロールが組織運営そのものです。メンバー同士がお互いを親しく知るための機会をなるべく設けること、そのために一定の時間を使うこと、トータルな人間として向き合うことを基本方針として確認すること、こうしたことがワンチームとしての行動を導く基盤づくりを促進します。

新年は物事の変化を受け入れやすい新たな気分をもたらします。新年にあたり、組織運営の基盤づくりに改めて取り組まれることをおすすめします。                  以上