「経営人事改革の視点」 2014年7月号 社内研修の考え方

社内研修の効果が実感できない

従業員の能力アップや成長を図り、企業の成長に役立てるために、社内研修を行う企業は多くあります。しかし、その効果が上がっているかと問われると、疑問符がつくケースも多いところです。

「何から手をつけたらよいのかわからない」、「研修にかけられる予算はあまりない」、「社内に研修を行うことができる人材がいない」、「時間をかけた割には成果が現れない」など、悩むことも少なくありません。

公益財団法人日本生産性本部では、研修の成果を上げている会社のポイントとして、次の5点を挙げております。

  1. 目的やゴールを明確にしてプログラム化する
  2. 研修テーマを絞り参加者にも事前に周知する
  3. 研修のステータスを上げる(研修を日常業務に優先する重要なものと位置付ける)
  4. 研修と実務の結び付きを強める
  5. 階層間をつなげた教育研修を行う

こうした点が重要なポイントであることは間違いありません。

何をテーマに研修を行うか

サービス経済化が進み、国内市場において、商品・サービスは量的には多くの分野は充足しています。そのため、市場における顧客の要求は、法人、個人を問わず多様化・高度化の傾向にあり、多様で高度な顧客の要求に応えるために、企業はそれに見合う多様で高度な活動が必要になっています。それを支えるのは、能力とモチベーションの高い人材であることは間違いありません。

では、社員が一般教養を多く身につければ企業業績が上向くかというと、決してそんなことはありません。必要なのは、企業が付加価値を生み出しているコアな業務の内容をレベルアップすることであり、コアな業務に関連する社員の能力を上げることです。

そのためには、まずコアな業務の成り立ちを分析する必要があります。コアな業務など分析しなくてもわかっていると言われそうですが、実はコアな業務の体系的な理解が足りない企業が多いのです。コアな業務がどのようなプロセス、構造で行われているのかを業務分析(業務を大分類→中分類→小分類に分解していく)で明らかにし、その業務を進めるために必要な能力・知識を明確にしていくことが重要です。

そして、業務分析で明らかになった必要能力・知識を社員に習得させることを、その優先順位にしたがって行っていくのが社内研修の王道です。つまり、社内研修は業務分析を行うことが出発点となるのです。

どのように研修を行うか

社内研修は、講師を社員が務めるのが基本です。何よりも教えることで上司や先輩社員が成長します。当然、教育指導は研修の場だけでなく、OJTにおいても行っていくものであり、その連続性も確保できます。何よりも、ノウハウの蓄積が進みます。

教材も自社に合ったオリジナルなものを作成すべきです。その教材は、年々改善されていくことになります。また、教育は教えたら終わるものではなく、能力評価でその結果が検証されていきます。

社内教育は単独で捉えてはならず、業務分析→必要な能力・知識の特定→教育訓練→成長→評価→業務の改善といった好循環を作っていくことを目指すべきなのです。そうした循環により、結果として社員も企業も成長していくことになります。

以上