「経営人事改革の視点」 2018年4月号 目標管理制度の運用法

目標管理制度の実態とあるべき姿

目標管理制度を導入・運用している会社は数多くあります。その実態はというと、営業職であれば売上や利益の数字を目標に掲げ、その達成率等で評価する形態が一般的かと思われます。

一方成果が数値化できない職種などでは、その部署の課題を目標にしたり、自身の成長目標などを目標においたりして運用することがあります。

このように目標設定するのも悪くはないわけですが、せっかくの目標管理制度なので、全社の事業計画と整合を取る形で展開することをおすすめします。思い思いのテーマを設定した運用ですと、さすがにバラツキが出て、各人のベクトル(方向、強度)が束ねられても、会社全体として強いベクトルにならない恐れがあります。

目標管理制度も、会社として推進していくべき重要課題について、全社展開することを推進する仕組みであることが望ましいのです。

例えば、全社課題があって、それを具現化するための部門の主要な事業・目標があります。それらをピックアップして下位組織に展開していく形態が考えられます。

この方式ですと、部門の主要な事業・目標→単位組織の事業・目標→各人の果たすべき成果・役割などが目標設定項目となり、内容が上位組織から下位組織に展開されるので、目標と会社の事業計画がベクトルとして一致します。

単位組織の事業・目標については、論理的に展開されていきますが、各人の目標設定のあり方はその事業や目標に対してどのようにコミットするか、どのように貢献するかということなので、内容は多様なものになり得ます。

社員のグレードによって役割のレベルは決まっていきますが、目標設定のあり方においてレベル違いが出ると、高いグレードの社員なのに基準が低すぎるという事態を招きます。社員のグレードに応じた標準的な着眼点を作成し、それを参照しながら目標設定を行うなどの対応が必要となります。

評価期間、成長目標など

人事評価制度において運用される目標管理制度は、半年単位または1年単位であることが一般的です。

これはこれで間違いではないのですが、可能な限り短いスパンで運用することをおすすめします。例えば、半期ごとに行っている評価〜フィードバックプロセスを、四半期サイクルにする、などです。

評価サイクルを短縮するのは、一つはスタートダッシュを強くするという狙いからです。期間が長いと、どうしても「時間がたっぷりあるので後でやればいい」となりがちです。

もう一つは、半期〜1年というスパンで運用される評価制度を、短期サイクルの日常業務マネジメントに落としていくことで、目標管理と日常業務マネジメントをつなげていこうとする狙いです。

そもそも目標管理のテーマに上がるものは、重要な内容です。日常の業務マネジメントに、常に目標管理で取り上げられた重要なテーマが照射されるような状態を作ることが望ましいのです。そうでないと、結果評価を行う行為が通知表に点数をつけるようなものになってしまい、業務推進に資するものにはなり得ないという恐れがあるからです。

目標管理が重要業務のマネジメントそのものとなった時に、そのマネジメント工数は、管理のためのコストではなく成果を引き出すための効果的な投資になっていきます。

成長目標の設定も非常に有効です。「◯◯ができるようになる。」「◯◯の資格を取る。」などの内容が一般的ですが、こうした内容は、各人事情が異なるので、それぞれ内容を決めてもらう必要があります。そこでは当然レベル差が生じることになり、どのように評価したらいいか悩むところです。

この成長目標については、結果の確認は行うものの評価の対象とはしないことをおすすめします。レベル差の問題がありますし、成長を目指すという内発的に動機づけられる行為に、評価や報酬を紐付けるなど外発的動機づけを行うことによって、かえって動機づけが低減するという研究結果も出ています。

報酬などに結びつかないテーマであっても、自ら宣言を行うというのは強いコミットメントであり、実現の可能性は高くなるのです。

以上