「経営人事改革の視点」 2018年11月号 目標管理制度で業績を上げるには

目標設定の方法

目標管理制度を導入する企業は少なくありません。

目標管理制度にはいくつかの機能があります。業務管理ツール、評価ツール、育成ツールとしての機能です。業務管理ツールは業績向上を図ることが目的ですが、特に職位が高い社員については、業績向上目的でこの制度を捉える必要があります。

目標管理制度を使って業績向上を図るポイントとして、上司の関わり方、目標設定の方法、評価の方法の3つがあります。

目標管理制度においては、上司がトータルな人間として当該社員にきちんと向き合うことが出発点となります。自分にきちんと向き合ってくれる上司が、期待感をきちんと示した上で、期中においても要所における確認・激励、フォローアップを行うことで、社員のモチベーションは高まります。

また、目標設定制度では、社員が主体的に目標を設定するボトムアップ方式がとられることが多く、この制度を提唱したP.ドラッカーもそうした方向を目指していました。しかし現実には、トップダウン型の目標設定の方が適切であるケースが多いのです。

職位が高い社員の目標設定は、会社の成長発展に貢献する経営上の必要性が高い重要事項を取り上げる必要があります。重要事項における貢献実感は、モチベーション向上にもつながります。

もちろん、一方的な押しつけは好ましくないので、目標設定に関する協議や本人からの主体的目標設定の受け入れの余地を残すことが望ましいと考えられます。

業務の達成意欲に直接影響するのは、報酬よりもむしろ上司の期待や評価の方だと考えられています。人間は期待される度合いが高くなればなるほど業務への意欲が高くなり(ピグマリオン効果と言われています。)、その期待に応えようと努力する傾向を持ちます。

ある研究によれば、成功見込みが50%に達するまでは取り組み意欲は上昇を続け、それを過ぎると下降し始めるとのことです。あまりに成功の確率が低いと感じられると、諦めてしまうのです。こうしたことから、目標設定においては、達成確率が50〜70%程度のところに置くのが望ましいと考えられます。

また、設定した目標は公開することが望ましく、それにより、経営課題や取り組むべき事項の社内共有が進みます。

評価の方法

目標管理制度において、最終的な評価をどのように行うかについては、公平性を担保する観点から、入り口つまり設定段階で目標の難易度調整を行うことが一般的です。そして、達成度と評価点の対応関係をあらかじめ定義します。

こうしたことを行う結果、経営上必要な内容からはずれてしまうことや、本人にとってチャレンジングな目標水準に至らないといった現象が頻繁に起きます。

つまり、公平性概念に縛られるあまり、経営的にも本人的にも不十分な内容になってしまう恐れがあるのです。そもそも、入り口における難易度調整で本当に公平性を担保できるかどうかも疑問です。

したがって、入り口においては難易度調整を行わず、経営上必要な内容であって本人にとってストレッチした水準とすることを優先し、公平性は“出口”において求める方式をおすすめします。具体的には、上司が対象者の目標達成結果に対して絶対評価で評価点をつけた後、同等レベルの社員の結果をテーブルに並べて、評価者が議論の上最終的な価値判断つまり評価決定を行うというものです。

目標設定から期中のフォローまで、上司が被評価者にきちんと向き合っていることが前提となりますが、期首に設定した形式的な物差しで測るよりも、業務遂行の結果に対して、人間が真摯に議論した上で評価結果を求めた方が内容的にも適切で、きちんとしたフィードバックを行えば社員の納得が得られることが多いのです。

以上