「経営人事改革の視点」 2016年12月号 成長することが企業の宿命

短期・中期・長期の人材マネジメント

企業が発展していくためには、人材の力を活用していくしかありません。経営者の存在はもっとも大きいものですが、経営者の機能だけに頼っていてはすぐに限界に達してしまいます。

人材を「放任」しておいて企業活動がうまくいくならラッキーですが、物事はそのように簡単にはいきません。したがって、人材を評価・育成し、行動に対して動機づけし、達成した成果を何らかの形で処遇に反映させていく必要があります。

人材マネジメントは、短期・中期・長期で組み立てていきます。

短期のマネジメントは、日常業務の延長で行われるもので、日、週、月の行動計画であり、その中での指導・教育(OJT)です。これは主に現場サイドで行われるものです。

中期の人材マネジメントは、一般に半期、1年間の人事評価で行われるものです。目標の設定、中間の面談、評価の実施、評価結果のフィードバック、評価の処遇への反映という流れで、人事部門と現場が役割分担をしながら進めていきます。

長期の人材マネジメントは、5年、10年単位でのキャリアマネジメントを行うことです。これは、社員の人生設計とも大きく関係するもので、人事部門が主導していきます。

ピーターの法則

ピーターの法則と呼ばれる法則があります。それは、「組織はいずれ無能な人間の集まりになる」というものです。もともと無能な人間は、組織において上に上がっていけないので、そのまま平社員にとどまります。

有能な人材は結果を出していくので、それを認められてポジションが上がっていきます。そして、上がったポジションで活躍すれば、いずれその上のポジションにいきます。しかし、人間の能力には限界があるので、どこかで能力が発揮できない状態に陥ってしまい、それ以上のポジションには進めなくなります。逆にいえば、能力の発揮できないポジションまでは上がっていくということです。

一般的な人材マネジメントにおいては、結果が出せないからといって簡単に降格させることはできないので、現在のポジションまたは同等のポジションにとどまることになり、それが進んでいくと組織に無能な管理職が増加します。

このような成り行きによって、上から下まで、組織の各階層において無能な人間があふれることになります。

成長でしか良い循環を作れない

人材の成長には、競争原理と流動性が不可欠です。上記ピーターの法則のような状態は、短期、中期、長期の人材マネジメントが的確に行われ、降格人事などが適切に行われていれば避けることができます。しかし、現実問題それは非常に難しいのです。抜擢人事を行うことは比較的たやすいですが、その逆を行うことは至難の業です。

成長が鈍化した企業は、人材の成長も壁にあたり、新設部署もないことから、組織は硬直化・固定化しがちです。

逆に、成長企業においては、組織や新たな拠点なども拡大し、人の異動が活発になります。ある部署で能力の限界が露呈すれば、違ったタイプの組織に移していくことも可能になります。

賃上げ自体も、企業が成長しないと実施が難しいのです。成長しなくても、同数の人員で入社退社のバランスが取れていれば、理論的には通常の昇給はできるのですが、実際は社会保険料の負担増や実質的な定年延長によって人件費負担が増える分、昇給に回す原資が少なくなります。

企業は成長してこそ、人材の成長が可能となり、また賃金の引き上げも可能になるのです。資本主義社会においては、企業は成長しなければ長期的な存続が不可能と覚悟し、積極的な経営にあたっていく必要があります。

以上