「経営人事改革の視点」 2015年9月号 収益向上に直結する人事マネジメントとは

人事マネジメントの原則

企業は、職種、階層、雇用契約上の立場が違うさまざまな社員で構成されています。企業が顧客価値を創造していくためには、企業活動そのものである社員の行動をあるべき方向に導いていくことが欠かせません。

そして、人事マネジメントにおいては、多様な社員の目的意識と行動が企業の戦略・戦術に合致するよう、それぞれのミッションと評価基準を明確にすることで、社員の行動を体系化していくことが必要です。

以下のような考え方で、人事マネジメントの方法を具体的に組み立てていくことができます。

価値創造プロセスを確認する

何よりも、企業が市場で顧客から支持を得て商品・サービスが購入される「基幹となる価値創造プロセス」に光を当てることです。

基幹となる価値創造プロセスとは、例えば小売店であれば、店舗において仕入れた商品を顧客に販売することがそれにあたります。店舗における直接的な収益構造は以下のとおりです。なお、購買単価は、商品単価×購買点数と分解することもできます。

売上=顧客数×客単価
 =(既存顧客+新規顧客−流出顧客)×購買頻度×購買単価

この価値創造プロセスにどのように寄与するかが、社員としての一義的な貢献となります。当然、社員としてはさまざまな貢献の姿があり得ます。問題は、企業はこの価値創造プロセスへの貢献の姿を、社員の自主性に任せて良いかということです。やはりそこは企業としての戦略・戦術に合致した施策をとってもらう必要があります。

顧客数を増やすには、新規顧客を多く獲得する方向性か、既存顧客の流出を防ぎ、購買頻度を高める方向性か、あるいは頻度よりも購買単価を向上させる方向性か、戦略により強弱のつけ方が異なります。

新規顧客を多く獲得する方針であれば、広告宣伝に力点を置くことになり、既存顧客の流出防止とリピート購買を目指すのであれば、顧客に寄り添ったきめ細かい接客やフォローに力を入れるべきです。

マネジメントのあり方としては、目指す方向性ととるべき行動を明確にすることです。その上で、社員の貢献行動に対して、何らかの評価を行うことになります。

その行動が企業にどのように貢献するのか

基幹的な価値創造プロセス以外にも、さまざまな価値創造プロセスがあります。例えば、総務課が全社の電気代の削減に取り組み成果を上げた場合、これは価値創造プロセスへの1次的な貢献ではないにしても、収益向上に貢献します。会社全体の収益性が高まれば、結果として価格競争力も増していくので、ビジネスそのものも強くなっていきます。

ドライバー不足に悩むトラック運送業において、優れた採用活動を行い、ドライバー確保に成功した場合は、トラック運送により収益を上げるという基幹となる価値創造プロセスへの1次的な貢献ということができます。

社員が行うべきことは多くあります。それらの職務行動が、会社にとって、あるいはビジネスの成り立ちにとってどのように貢献するか、そして優先的にとるべき行動はなにかを明らかにし、その結果について評価を行うことが人事マネジメントの根幹の作業となります。そして、評価結果をどのように賃金や賞与、昇進などの処遇に反映させるかは、その次の課題となります。

以上