「経営人事改革の視点」 内面化されないルールに効力はない

◆ルールとは何か

ルールとは、人間集団における行動を律する規範のことです。

人間集団には、学校、企業、町内会などさまざまなものがあり、偶然集まった人間集合でない以上、そこには何かしらのルールがあります。

ルールには、法律や規程など明文化されたものと、明文化されていないものがあります。

アメリカ大リーグには、明文化されていない様々なアンリトンルール(unwritten rules)があると言われています。大量リードしているチームが、盗塁などを行うと、侮辱的な行為と見なされ、それに対する報復として、その選手が次の打席に立ったときに、デッドボールを食らってアンリトンルールを思い知らされることになります。

大リーグの選手たちの大部分は、アンリトンルールを知っており、気をつけるわけですが、たまたま知らなかったり、あるいはわざとそれを無視したりしていざこざが起きるわけです。

知らない人も、教えてもらったり、すぐにそれを体験したり、いざこざを見たりすることで、それを知ることになります。つまり何らかの体験を経てルールは内面化されていきます。

このようになって、初めてルールは機能し始めます。現実には、このような明文化されていないルールが圧倒的に多いと考えられます。

年上の人間に対しては敬語を使う、道ばたにゴミを捨てない、約束した時間を守るなどは、通常多くの人が守っているルールです。

違反したとしても、刑事罰を受けるわけではありませんが、人間集団の中で、変に思われたくない、嫌われたくないという気持ちから、基本的にそれらのルールは内面化され、いちいち注意喚起されなくても守られるようになっていると考えられます。

 

◆社員が伸び伸びと力を発揮するために

一方で、法令や会社規則で明文化されているルールでも、必ずしも守られていないものはたくさんあります。

守らなくても何事も起きないルールや、なぜ守らなければならないか理解できないものは、守る動機自体が生まれないのです。

では企業として、ルールをどのように考えるべきでしょうか。

理想的な姿を言えば、少数の大事なルールを社員が皆理解し、そのほとんどが守られており、それ以外に社員を縛るものはほとんどないという状態です。その少数の大事なルールを掟(おきて)と呼ぶこともできます。

何を掟にするかは、企業の価値判断ですが、掟を決めた以上は、それが社員の内面に徹底的に刷り込まれるよう、繰り返し強調します。そしてそれが守られなかった場合、非常にきびしい態度で臨む必要があります。そうした体験を通じて、社員はそれらの掟を内面に刷り込んでいき、皆が守るようになり、よほどのことがない限り、そこから逸脱することはなくなります。

ただし、のように進めるためには、企業経営者の覚悟が必要です。中途半端ではうまくいきません。

それ以外の細かいルールは、できる限りワークフロー化して、その方式で物事を進めることが社員にとって楽であり、メリットも生じるという形にもっていくのが合理的です。

その重要度にかかわらず、一群のルールとしてすべて守らせようとするのは得策ではありません。

内面化された少数の掟は絶対に守られるようにし、それ以外の勤務ルールや仕事の手順については、ワークフロー化して、楽に進めることができるようにする。そして、社員の意識が価値を生む行動に向かうよう、目的意識の共有を図るとともに、伸び伸びと振る舞える環境を作っていく。その結果として、大きな成果が生まれ、社員がどんどん成長していくといった状況を目指すべきです。そして、それは可能なはずです。                        以上