「経営人事改革の視点」 2016年11月号 会計年度と評価期間について

評価期間をどのように設定するか

人事制度においては、評価を処遇と結びつけることで評価につながる行動が強化されます。評価を直接反映できるツールとしては、賞与が最も使い勝手の良いものです。昇給も基本的には年1回、昇格に至っては数年に1度あるかどうかです。人間は、行動の結果が短期間で実現すればするほど結果を志向した行動をとる傾向が強くなる、つまり結果に向けてのモチベーションが高くなるということです。

昇給や昇格はもちろん重要事項ですが、半期評価の積み重ねで結果を出していく評価と賞与の結びつきを人事制度の有力なツールとして使わない手はありません。

ただし、ここで一つの問題があります。それは、企業の会計年度により、半期評価と賞与支給時期がタイミング良く結びつかない場合があるということです。

法人の場合は自由に会計年度を設定できますので、そのパターンは月単位でみた場合、1月開始・12月決算から12月開始・11月決算までの12通りとなります。

ここで、比較的採用する企業も多い4月開始・3月決算、10月開始・9月決算のパターンでは、6月(あるいは7月)支給夏期賞与、12月支給冬期賞与というスケジュールが評価期間と比較的マッチします。ただ、3月に後期あるいは前期が終わった後、6月あるいは7月の賞与支給までにやや期間があります。

評価期間と賞与支給のスケジュール感だけで言えば、ベストは5月開始・4月決算、あるいは11月開始・10月決算でしょう。このケースでは、評価期間、評価のプロセスが終わり、賞与支給までの期間が短く、評価結果がレスポンス良く処遇に反映されることになります。

逆のケースで、例えば2月開始・1月決算の場合をみると、2月〜7月の評価を夏期評価に反映させることはスケジュール的に無理があるので、この分は冬期賞与へ反映ということになります。そして、8月〜1月の後期評価を夏期賞与に反映させるということになり、評価結果が出てからそれを反映した賞与支給の間が非常に間延びすることになります。こうした状態は、社員のモチベーション維持にマイナスに働きます。

期末を待たずに、前倒しで評価を行うという方法もありますが、スケジュール的には窮屈なものになります。

たまたま4月開始、5月開始、10月開始、11月開始の会計年度の企業は良いのですが、そうではない企業における対応は2つに分かれます。

評価期間を会計年度からずらす方法

方法の一つは、多少間が空いても評価期間は決算期どおりに行うというもので、これはきわめて普通の対応です。本来、評価は会計年度における企業目標、企業目標の各部門への展開という流れの中で、個人目標や行動計画を設定するのがあるべき姿で、こうしたあり方を「目標の連鎖」といいます。

もう一つは、評価期間と会計年度をずらしてしまうという方法です。これは、「目標の連鎖」という経営合理性を多少犠牲にしてでも、結果志向性、モチベーション維持を重視しようとするものです。

実務的には、評価期間と会計期間をずらしても大きな支障は生じないことが多いです。重要な経営方針に関しては、評価期間が会計年度とずれてもあまり影響は受けず、経営目標と組織・個人目標の整合性については、期間のズレに対して一定の修正をかければ済むことです。

どちらを選択するかは、もちろん企業の判断ですが、評価期間と会計年度をずらす方法も有力な手法としておすすめするものです。そして、6月(あるいは7月)と12月の賞与支給を前提にすれば、5月〜10月(または11月〜4月)を前期、11月〜4月(または5月〜10月)を後期とするのがベストな方法と考えられます。

要は、評価期間=会計年度と硬直的に考えるのではなく、「成果をあげる社員の行動を強化する」という目的から、もっとも合理的な方法を考えていけばいいのです。

以上