「経営人事改革の視点」 2018年6月号 企業構造の激変

企業数が激減していく

国内企業の3分の2にあたる66.5%が後継者不在であると言われています。

一方、社長の平均年齢は60歳を超えていて、後継者不在によるケースだけで、今後10年〜20年の間に日本の企業数が半減する可能性があります。

廃業は、後継者不在だけでなく、販売不振や人材難によるものもあります。特に人材難による事業所の閉鎖は静かに進行しています。その背景には、少子化だけでなく、求職者がキツい仕事を極端に嫌うようになっているという事情もあります。

こうした環境変化は、企業経営に大きな影響を及ぼします。昨今では取引先が突然なくなるなど、企業構造、サプライチェーンに大きな変化が起きつつあります。

最近耳にした事例としては、特殊な運搬を行う車両の架装を施工する会社が、競合他社が廃業して全国で一社になってしまったため、これまで半年程度の納期だったものが、納期3年の状態になってしまった。しかし、発注者は他に対応可能な会社がないため、ここに頼まざるを得ない状況であるとのことです。

後継者不在の企業が存続するには、理論的にはM&Aによる他ありません。そのため、M&Aの件数が増加しつつあります。

レコフM&Aデータベースによると、2017年の日本におけるM&Aの総数は3,000件を超えて過去最高になっています。統計に反映されない中小規模のM&Aは、こうした数字の他に多数存在するものと考えられます。

企業はM&Aに取り組むべきか

M&Aを戦略の柱に置き、成長を目指す企業もあります。そのような極端な位置づけでなくても、通常の取引や時間を掛けた投資で必要な機能の獲得を行うのではなく、M&Aという手法を使って必要な機能を埋めることが合理的な場合もあります。

M&Aが確実に活発化していく状況の中で、少なくとも、その手法を放棄するのは適切ではないと考えられます。事業遂行に不可欠な機能を果たす重要な取引先が廃業してしまったり、ライバル会社が買ってしまったりすることはあり得る話で、そうした場合事業遂行にも支障を来たします。M&Aには、そうした事態への対応という危機管理の側面もあります。

成長戦略においては、M&Aによる人材の獲得、経営ノウハウの獲得、新たな商圏の獲得、不動産などの資産の獲得、異分野への進出などの可能性があります。通常、こうしたことを実現するためには、相当の期間を要するわけですが、それを買収等によって行うM&Aは「時間を買う手法」とも言われています。

一方、取得した企業が不良債権化することや、企業カルチャーに悪影響を及ぼすなどのリスクもあります。

一般的にM&Aは、突然目の前にそのチャンスは現れ、その案件に興味がある場合、きわめて短期間で判断することが求められます。M&Aを行うのであれば、そうした事態に対応できるようにしておく必要があります。小さな案件であっても、まず一つ経験しておくことが望ましいと考えられます。

M&Aにおいては、短期間で対象企業を調査・評価し、ディール成立後は的確なマネジメントを行って行く必要があり、経営に関する凝縮された学びが得られ、結果として企業のマネジメント能力が高まる可能性があります。これは、M&Aの副次効果であるといえます。

以上