「経営人事改革の視点」 2014年3月号 企業にも社員にも重要な「キャリアパス」

「キャリアパス」とは?

キャリアパス(career path:キャリアを積む道)とは、企業の人材育成制度の中でどのような職務にどのような立場で就くか、またそこに到達するためにどのような経験を積みどのようなスキルを身につけるか、といった道筋のことをいいます。要は、企業の中での異動や昇進のルート、あるいは人材が最終的に目指すべきゴールまでの道筋のモデル、仕事における専門性を極める領域に達するまでの基本的なパターンなどを示します。

企業がキャリアパスを示すことで、従業員は中長期的にどのようなスキルや専門性を身につけていくべきかを理解できるともに、自己の目指すべき道を自己で考察する材料ともなり、自己啓発意識の醸成、モチベーション向上に資することができます。

そしてキャリアパスは、社員のために作るものですが、「社員が目標意識を高く持って働くことにより会社の成長と利益につながる」「企業が社員の適性を的確に把握して情報を蓄積できることにより急な配置転換が必要となった際などに活用できる」等、企業にとっても利点の多いものです。

人材募集時の効果が大きい

また、近年、人材募集時において、「キャリアパスが明確になっている」ことを謳い文句にする企業も増えてきました。これは、キャリアパスがモチベーションの高い優秀な人材を集めることに寄与することによるものです。

最近の若者は、「食うために働く」「働いて豊になりたい」「就職して車を買いたい」といった昔型の動機を持って就職するケースが少なくなっています。では、どんな動機で会社を選ぶかというと、もちろん企業のネームバリューや待遇の良さもありますが、純粋に「成長したい」という思いが強いのです。新規学卒者を対象とした就職先を選ぶ際のに重視することを聞いたアンケート調査でも、それは如実に表れています。

自分がこの会社に入った場合、当初どのような仕事を行うのか、2年後、3年後にはどのような仕事を行うのか、それによりどんな能力がついていくのか、そして、5年後、10年後にはどのような人材になっているのかということを漠然と考えているのです。

こうした思いには、学校において行われるキャリア教育も影響しています。採用する企業側では、適性を見て入社してからいろいろな仕事をしてもらって伸びていってもらえば、といった程度の認識しか持っていないことが多く、この点でミスマッチが生まれやすいと言えます。

企業が若者の思いに答えることのできるキャリアパスを示すことができれば、応募者に対して大きくアピールすることができます。処遇の差よりも、こうした応募者にとってのわかりやすさが重要なのです。

キャリアパスの作り方

キャリアパスをつくる場合には、まずその前提として、業務を洗い出し、組織形態と適正な人材配置を考えていきます。そして、モデルとしては新卒を対象に考え、個性の異なる様々な社員に対して、どのようなルートでどのくらいの年数をかけてどのような経験を積ませていけば職務能力が向上し、全体的な最適化が図られるかを検討していきます。

以上

キャリアを積む過程で習得すべきスキルや業務知識、社内でたどるルート等は、各企業によって異なりますので、先行事例を参考モデルとしつつ、オリジナルの制度として組み立てていくことが必要です。