「経営人事改革の視点」 2015年2月号 人事評価制度と日常のマネジメント

結果を変えるためには?

企業活動とは、つきつめれば経営者や社員の行動の総合計ですが、企業活動の結果を変えるにはその原因となる社員の行動を変えることが必要です。

人事制度の目的は、経営目標を達成するために、社員の行動を良い方向に変えていくことにあります。経営課題を解決するための行動を定義し、その行動が実行されるように、評価制度や賃金制度でサポートしていきます。能力向上についても、基本的には同じことで、能力向上を実現するための行動を誘引していきます。

つまり、人事制度の直接の機能は、社員の行動を変えていくことにあります。

中小企業に、はたして人事制度は必要かという議論があります。導入してもうまくいっていない事例が多いからです。小規模な組織で経営者が全体を掌握できる状態であれば、人事制度は必ずしも必要ではないかもしれません。しかし、経営戦略を社員の行動に落とし込んだり、社員の能力を体系的に向上させたりしていくために、中小企業においても人事制度を積極的に活用すべきです。

ただし、中業企業が大企業のマネをしても決してうまくいきません。大企業の場合は、社員もきわめて多数なことから、どうしてもある程度形式を重視して作成し、運用していかざるを得ません。中小企業においては、大企業のマネをせず、そして形式にとらわれず、自社にとって本当に必要なものをオリジナルに作っていくべきです。

日常レベルの行動マネジメント

では、人事制度を構築すれば、問題は解決するでしょうか?

必ずしもそうではありません。人事制度の内容が的外れの場合は、当然望ましい結果は生まれません。また、評価者や管理者の問題もあります。人事制度の内容が良くても、評価者のレベルが低ければ望ましい結果を得ることはできません。場合によっては、評価制度を導入すること自体がマイナスの効果をもたらします。評価制度を入れた場合、評価者のレベルアップを図ることは必須要件となります。

もう一つのポイントは、日常レベルの行動マネジメントにあります。人事評価は、せいぜい半年に1回のイベントです。人間の行動に影響を与えるのは、その行動の結果です。つまり、その行動の結果、当人に何が起こったかということがその行動の再現性に影響を与えるということですが、研究によれば結果が行動に与える影響の度合いは、その結果の重大性よりも、「すぐに起きるか」「必ず起きるか」ということに左右されるということが分かっています。

半年に1回の評価では全くもって足りないのです。もちろん、規範としての評価制度は必要であり、評価によって賞与や昇給などの処遇が決まるという原則はとても重要なのですが、社員の行動に対する日常的なマネジメントも工夫していかなければなりません。

「見える化」と企業カルチャー

とるべき行動をとった場合に褒める、とるべきでない行動をとった場合に叱るというのは、行動マネジメントの基本ですが、すべての行動についてそのようなフォローを行うことはできません。そこで効果があるのが、結果の「見える化」です。

例えば、顧客への訪問が重要な行動であった場合、その件数を毎日表やグラフに表すといった対応は、オートマチックに行動に対する結果が生じます。そのため、行動への影響力が発生するのです。

そして、真に望ましいのは、企業カルチャーが構築され、行動が制御されていくことです。例えばルール違反の望ましくない行動が生じたような時には、それをとがめる雰囲気が瞬時に生まれるような環境にあると、間違いなく行動に対する影響力が生じます。

究極的には、望ましい行動が自然に発生するような企業カルチャーの構築を目指す必要があります。

以上