「経営人事改革の視点」 2015年1月号 人が集まり定着する会社になるために

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

人材不足の広がり

わが国においては、今後長期的に人口減が進んで行きます。若年労働者や働き盛りの年代で見ると、その減少はさらにハイピッチで進みます。こうした中、企業における人材獲得が大きな課題であることは間違いありません。人材が不足すれば、企業活動は大きく制約を受け、存続すら危ぶまれる場合があります。

大阪商工会議所が中小企業を対象に実施し、今年7月に公表した調査結果によると、従業員が「現在、不足している」企業は30.0%、「今後不足する懸念がある」企業は33.3%となっています。さらに、このうち9割以上の企業が業務への影響が「生じている」「今後生じる懸念がある」と答えています。

12月8日に東京商工リサーチが発表したデータでも、2014年1〜11月の「人手不足」関連倒産が累計276件に上っています。大半は「後継者難」型(248件)ですが、「求人難」型も18件、「従業員の退職」型も10件となっています。

人材に対する本気度が問われる

人材が企業にとって最重要の経営資源であることは、あらためて言うまでもありません。そもそも企業活動は、経営者や社員の行動の総計です。つまり、人が付加価値を生み出すのです。

とくに、サービス経済化が進む現状では、付加価値を生み出す程度は、人によって何倍もの違いとなります。かつてのように平均的な労働生産性を前提として、人数に比例した付加価値を生み出すことのできる経済構造ではなく、有能な人材を獲得してその定着を図ることのできる企業のみが成長していくことができるのです。

持続的に成長している企業は、採用や人材育成などの人材投資活動に驚くほどの手間を掛けています。もちろん、人間は経営者の思い通りにはなりません。人材活用の面においても、リスク管理の面においても、困難な事柄が多いのですが、とにかくこれをやっていくしかないのです。

人材マネジメントにおいては、人の行動特性やモチベーション構造の把握、労働法制に対する理解などが必要になりますが、何よりも出発点において、人材マネジメントに対する本気度、つまり「人間」に本気で向き合っていく覚悟が問われるところです。それは、人が不足する時代においては一層重要な要素になります。

人材投資は先行投資

人材投資は、採用にしても教育にしてもすぐに結果が出るものではありません。人材投資は先行投資であり長期的な取り組みになります。

即戦力を求めても、多くの場合期待はずれに終わるのは、その会社にふさわしいそうした戦略的な取り組みが欠けているからです。なお、ここで戦略的な取り組みと言うのは、教科書的なものではなく、むしろ迷いつつ模索しつつも自社なりの考え方、方法論を作り上げていく行為であるということができます。

新年にあたり、それぞれの組織において、求める人材像、求める人材を獲得するための採用のあり方、必要な能力を身につけるための教育・訓練のあり方、そして社員の働きに応える処遇のあり方等について、長期の取り組みを前提とした本腰を入れた検討を行われたらいかがでしょうか。

以上