「経営人事改革の視点」 2018年1月号 あけましておめでとうございます

好調な経済と供給不安

皆様、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、各種経済指標にも表れていますが、現在の日本は好景気であると言われています。日本の上場企業の平均的な格付けは、継続的な高業績を反映して非常に高い水準にあるという報道も最近ありました。

もちろん、ネット通販などに浸食されている業界などは、非常に苦しい状況にありますし、地方においては、商店街はシャッター街と化していて、とても好景気とは思えない雰囲気があります。

しかし、こうした雰囲気の中で、一定割合以上の企業の業績が良いというのが、現在そしてこれからの好景気のあり方なのだと思います。そもそも、日本の産業や人口の構造を考えると、バブル期のような圧倒的な好況感は今後あり得る話ではないと理解する必要があります。

さて、好景気の中にも落とし穴があります。日本のサプライチェーンが毀損してきているという現実です。供給面での不安が現実のものになりつつあるということです。

「受注は好調なのに、製品の一部の工程を受け持つ下請け企業の生産能力が落ちたために、大幅な納期遅れが生じ、売上が立たない。」「製造に必須の設備を発注したところ、納期が3年後と言われた。」などという話を聞きます。これまで当たり前に手に入っていたものが、お金を積んでも手に入らなくなるという状況がどの企業にも起こり得るのです。

今後は商品開発や営業だけでなく、これまでリスクと考えられていなかった供給面にも気を配っていく全方位的な活動が求められることになります。

人材の獲得と定着が鍵

供給面のリスクは、人材難において最も顕著に表れています。企業の成長の制約条件が資金よりも人材であることが少なくありません。多くの企業で、人材さえいればどんどん業務を拡大できるのに、その不足により成長にブレーキが掛かるというジレンマが起きています。人材難による廃業すらあります。

今や人材の採用と定着は、企業の最も大きな課題となっており、このテーマに企業は全身全霊で取り組まなければなりません。

さて、ある調査で、最近の若者が就職先を選択するにあたり企業の福利厚生策を重視しているという結果が出ていました。このことは注目に値します。しかし、この結果から、若者は福利厚生メニューを享受したがっていると判断するのは短絡的過ぎると思われます。

人間は誰しも、自分が粗末に扱われることに堪えられるものではありませんが、昨今の若者はその傾向が非常に強くなっているようです。若者は、社会や企業に対して非常にシビアな見方をしています。企業が口だけで人が財産だと言っても、簡単には信じないのです。そして、社員を大事にしているエビデンスの一つとして福利厚生策を捉えていると考えるべきです。そのような冷めたものの見方をしていると考えるべきであって、福利厚生メニューをそろえておけば、人材の獲得と定着に成功すると考えるべきではありません。最低限のこととして、若者は人間としてきちんと扱われること、それを求めているのです。

したがって、外形的に何かを与えることを急ぐのではなく、社員に正面から向き合って、どのようなことを感じているのか、社員の人生を幸せなものにするために会社としてできることは何なのかを真剣に考えることこそが重要だと言えます。

新年にあたり、個性と様々な背景を持った社員について、今一度思いをめぐらせて、人事施策について再考してみてはいかがでしょうか。

以上